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葬儀保険「千の風」のコラムのページをご覧いただきありがとうございます。
日本には弔事に関する様々な慣習があり香典返しも昔から行われて来た慣習のひとつですが、近年、香典返しを辞退される方が増えています。
本記事では、香典返しの辞退の方法などを解説します。
目次
葬儀の場で、通夜や葬儀の参列者が喪家に対してお渡しするお金のことを香典といいます。
香典には、故人への感謝やお悔やみの気持ち、突然の不幸に見舞われてしまった故人のご家族の負担を少しでも軽くしたいという気持ちが込められています。
香典を頂いた方に対して、遺族がお礼と故人を弔う一連の法事が滞りなく済んだことを報告するためのお返しをすることを香典返しといいます。
宗教によって違いはありますが、香典返しは四十九日の法要を終えてからひと月以内贈ることが目安とされているため、遺族にとってはひとつの区切りでもあります。
香典返しについてはこちらの記事でも詳しく紹介しております。
香典返しとは?相場の金額や品物の選び方を解説
香典返しとは、遺族側の感謝の気持ちが込められているため、受け取ることがマナーとされていました。
香典返しは、日本古来から続いている慣習のため、辞退すると失礼になってしまうのではと感じる方もいるかもしれませんが、実は近年ではさまざまな事情から香典返しの辞退を申し出るケースが増えてきています。
そもそも香典は、参列者がお悔やみの気持ちを相手に伝えるために贈っているものなので、遺族から贈り物をもらうことが目的ではありません。
したがって、香典を辞退すること自体は、失礼にはあたりません。
香典返しを辞退する理由にはさまざまな理由がありますが、遺された遺族のことを考えて葬儀にまつわる費用の負担を減らし生活の足しにしてほしいという思いやりの気持ちから辞退を申し出るケースが一番多いようです。
また、特に故人の交友関係が広い場合には、遺族が香典返しをする総量も増えます。
香典返しは、「半返し」が基本とされているため、ひとりひとりに適切な形で香典返しを贈ると遺族の負担が増えてしまいます。
そのような事情もあり、親戚や仲のよい友人などが遺族の負担を減らすためにお返しは不要と伝える傾向があります。
また、最近、社内の規則で「贈答品を禁止する」ことが決められている企業が増えてきています。
この場合、企業から遺族に香典を贈るのは問題ありませんが、香典返しを受け取ってしまうと規則違反となってしまいます。
辞退されたのに誤って香典返しを送ってしまうと、相手への迷惑となってしまうことがあるので注意しましょう。
スケジュールの都合や仕事の繁忙期、長期出張などで香典返しを受け取る時間をとるのが難しいという理由から辞退を申し出ることもあります。
宅配便を利用して自宅へ贈り物を送ったとしても、相手が受け取る時間をとることができなければ迷惑をかけることになってしまいます。
時期的に難しいから辞退したいという意を汲み、相手の迷惑にならないように配慮しましょう。
結婚や出産、新居への引越しなどおめでたいことと香典返しの時期が重なってしまったときに、おめでたい時期に不祝儀関連の贈り物を受け取ることは避けたいと考えて辞退を申し出ることがあります。
お祝い事と忌み事を重ねたくないという相手への気持ちに配慮し、お手紙や電話などでのお礼で済ませるように配慮しましょう。
香典返しを辞退する方法には、香典の金額を少額にする方法があります。
香典返しは「半返し」が基本とされているため、香典を少額で包んでおくとお返しの贈り物のほうが高価となってしまいます。
暗黙の了解で香典返しはしなくてもよいというメッセージを込めることができますが、念のため香典袋などに辞退の旨を記入しておくとより確実です。
受付の方に、香典を渡してお悔やみの言葉を述べるときに香典返しは不要であることを伝えます。
ただし、受付をしている方が遺族ではないことや葬儀当日は慌ただしくしていることに配慮し、きちんと遺族の方に辞退の意思が伝わるように香典袋に記入する、もしくは一筆箋などを同封しておくと確実です。
近年、四十九日法要後ではなく、当日に香典返しをする方も増えています。 その際には、その場でお返しを辞退することを伝えてもマナー違反にはなりません。
香典返しの辞退を遺族に伝えるときには、香典袋に書いておくと確実です。
香典を整理するときに遺族の目に触れるよう、香典袋の裏面の住所・氏名の左側に辞退の旨を記入するしておきましょう。
中袋がない香典袋を使用する場合も、裏面に直接書いて問題ありません。 記入するときには、薄墨を使用して記入することがマナーです。
一筆箋を同封して遺族の方に辞退の旨を知らせる方法もあります。
一筆箋には、宛名、本文、差出人の順に記入し、本文は簡単な挨拶とともに、2行程度の文で記載するとよいでしょう。
一重タイプの香典袋には袋の裏面に、中袋があるタイプでは中袋の裏面に住所、氏名を書きますが、このとき、住所、氏名の左脇に簡潔に辞退の旨を書くことが一般的です。
香典袋の表書きと同じように薄墨で書くようにしましょう。
毛筆で書くのが難しいのであれば、グレーのインクのボールペンや万年筆などを使用するとよいでしょう。
文例としては、「お香典返しはご辞退申しあげます。」「お返しのお心遣いはご遠慮させていただきます。」「お香典返しのご配慮は不要でございます。」などがあります。
一便箋には、5行と6行タイプがあるため、一枚でおさまるように文章の長さを考えて記入しましょう。
文例には
「この度は、心よりお悔やみ申し上げます。お返しのお心遣いは不要でございます。」
「ご冥福をお祈りいたします。誠に勝手ながら、お香典返しは辞退させていただきます。」
「勝手ながらお返しのご配慮は不要でございます。ご遺族のお役にお立てください。」
などがあります。
香典返しの辞退を申し出る方は、遺族側の負担や手間を考えている方が多いです。
したがって、相手の方のお心遣いを受け止めて、挨拶状などで感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
どうしても香典返しを贈りたいという場合には、負担にならない2,000〜3,000円程度の金額で相手の好きな物を贈っても失礼にはあたりません。
また、特に法人や公的機関にお勤めの方などの場合、贈答品の受け取りが禁止されているケースがあります。
相手の迷惑とならないように十分に配慮するようにしましょう。
香典返しを辞退した方への挨拶状は、奉書紙または、白無地の縦書き便箋を使用して書きます。
挨拶状を書くときには、香典とお悔やみの言葉を頂いたお礼や故人の葬儀と四十九日法要が無事に終わった報告をします。
また、直接会わずにお礼を手紙で済ませることに対してお詫びを記載しておくと丁寧です。
挨拶状を書くときは、句読点を使わないことと敬語や頭語、結語は正しく使用することに注意しましょう。
日本において、手紙は句読点を使用しないことが慣習となっています。
句読点は相手が読みやすいように補助するためのものであり、句読点をつけた手紙を送ることは相手に失礼だと考える方もいます。
挨拶状等の場合には、句読点をつけずに書きましょう。
また、手紙の書き出しに使う、頭語、結語は間違えやすいので、注意が必要です。
「拝啓」には「敬具」、「謹啓」なら「敬白」と決まっているので、必ずセットで使用します。
挨拶状の例文には、「ご多忙にもかかわらずご会葬を賜り厚く御礼を申し上げます。
お陰様で四十九日法要まで済ませることができ、安堵しております。
本来ならばお目にかかって直接お礼を申し上げるべきでございますが略儀ではありますが書中をもちましてご挨拶させていただきます。
なお、返礼不要とのお気遣いをいただきましたこと誠に感謝申し上げます。」などがあります。
葬儀費用の負担を減らしてほしいという思いやりの気持ちで辞退された方やおめでたいことと不祝儀が重なって辞退された方、スケジュールの都合などの理由で辞退された方などにお返しをしたいという場合には、相手の気持ちを受け止めたうえで、時期をずらして会食に招待するなど違う形で感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
また、職場の方が連名で香典を包んでくださった場合は、ひとりひとりへのお返しが少額になることから手間を考えて香典返しを辞退されることがあります。
その場合には、職場で分けられる個包装のお菓子などを贈るのがおすすめです。
香典返しの辞退を申し出る際の注意点は、遺族側にきちんと伝わるように伝えることです。
特に口頭で伝えただけの場合は、遺族の方に曖昧に伝わっていることがあり、せっかく用意した香典返しの品物が台無しになってしまうこともあります。
辞退したことがかえって迷惑とならないよう、口頭だけでなく文章でしたためておくことをおすすめします。
また、香典返しは通常、四十九日後の忌明けに送ります。法要前に早めに準備している可能性もあるため、香典を渡すタイミングで相手に連絡するようにしましょう。
香典返し自体を辞退することは、失礼にはあたりません。
しかし、辞退の連絡が遅かったり、口頭だけで伝えて文章に残していなかったりすると、せっかく遺族の気持ちをねぎらって辞退したのにかえって相手の迷惑となってしまうことがあります。
葬儀の際は、哀しみにくれていることもありますが、遺族は慌ただしく過ごしていますので書面でも辞退の旨を記載し、確実に相手に伝わるように配慮することをおすすめします。
ここまでご覧いただきありがとうございました。