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《天上天下唯我独尊》( てんじょうてんげ ゆいがどくそん)とは?|ベル少短 かわら版 VOL.25

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《天上天下唯我独尊》( てんじょうてんげ ゆいがどくそん)

あまりにも有名なお釈迦様の言葉ですが、その言葉に隠された本当の意味は意外と知られていません。

お釈迦様はインドの北、いまのネパール、シャーキャ族の王子として生をうけます。本名はゴータマ・シッダールタといい、父はシュッドウーダナ(浄飯王・じょうぼんのう)母はマーヤ(摩耶夫人・まやぶにん)のもとに生まれます。

首都(カピラヴァストゥ)郊外のルンビニーで四月八日(花祭り・灌仏会)に降誕(降誕(こうたん)とは、神仏や聖人、偉人、帝王、貴人などが生まれること)、仏伝によりますと、お釈迦様は母の右脇から生まれたとされています。

キリストの降誕など古今東西、偉人の誕生には不思議なエピソードがつきものですね。

普通、人間は産道を通ってくるときの苦痛のために誰もが前世の記憶を失ってしまうものだといわれていますが、お釈迦様は右脇から出てきましたので前世の記憶を一切失うことなく、悟ることができたと伝えられています。

さらに、生まれてすぐ産声のかわりに、東西南北に七歩づつ歩まれ「天上天下唯我独尊」とおっしゃいました。

これを、直訳いたしますと、「この空間において尊い者は私一人である」になりますが、お釈迦様のような立派な人が自分だけが尊いなどといわれるはずもございません。

これは「生きとし生けるものすべてが尊いことなのです」すなわち、あなたたちひとりひとりが「この世の中で大切な役割を持っていてそれぞれが尊いのです」と、教えておられるのです。

《親子は一世、夫婦は二世》(おやこはいっせ、ふうふはにせ)

夫婦になることを二世の契りといいます。

「二世」とは現世と来世のことで、この世だけではなくあの世でも心変わりのない契りを結ぶことをいいます。

「阿弥陀経」(あみだきょう)のなかに『倶会一処』(くえいっしょ)という言葉がでてきますが、これは、死んだあとは、阿弥陀仏の極楽浄土に往生して、「(とも)に一つの処(ところ)で会いましょう」という意味です。

このことから「夫婦は二世」の諺が生まれたもので、親子の関係は現世かぎりのものだとして「親子は一世」といわれています。

ちなみに三世(さんせ)は仏語で前世・現世・来世の総称で過去・現在・未来のことを言います。