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葬儀保険「千の風」のコラムのページをご覧いただきありがとうございます。
お盆は日本に昔から伝わる風習です。
もし自分がお盆の準備を行う場合どうしてよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、お盆とはどういうもので何をするのかについて解説します。
目次
お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、仏教と日本古来の信仰が結びついてできた先祖供養の儀式です。
亡くなった方の霊が年に一度帰ってくる時期とされており、その霊をお迎えして感謝と祈りを捧げるさまざまな行事がおこなわれます。
新盆は、故人の四十九日が明けて最初に迎えるお盆のことで、初盆ともいいます。
家族・親族のほか故人の友人・知人なども集まり、菩提寺の住職に法要をしてもらうなど、通常のお盆よりも手厚い供養が営まれます。
四十九日前にお盆が来る場合は、翌年が新盆です。
旧盆とは、旧暦の7月13日から15日頃におこなわれるお盆のことです。
これは、新暦では8月から9月にあたります。
沖縄や奄美諸島などが旧盆を採用していますが、その理由としては中国文化の影響や、漁業等を通して自然との結びつきが強いといった事情が挙げられます。
お盆の初日は「迎え盆」といってご先祖様の霊をお迎えし、最終日は「送り盆」といってご先祖様の霊をお送りします。
送迎のために迎え盆には迎え火、送り盆には送り火を灯す習慣があります。
お盆は元々旧暦の7月13日から15日頃におこなわれていました。
しかし明治に入って太陰太陽暦から太陽暦(グレゴリオ暦)に変わる「改暦」がおこなわれ、地域によって改暦への対応が分かれたため、各地域ごとに時期が異なるようになりました。
東京や横浜、静岡といった大都市圏では、新暦の7月13日~16日頃にお盆をおこなうようになりました。
これを「新盆」といいます。
太陰暦から太陽暦に変わっても、日付をそのままスライドした形です。
一方、現在主流となっているのは8月13日~16日頃におこなうもので、新盆から1ヵ月遅れているため「月遅れ盆」とも呼ばれています。
これは、農業の盛んな地方では農繁期である新暦7月を避けたかったため、という説が一般的です。
沖縄や奄美では旧暦を採用した「旧盆」なので、年によって時期がずれることがあります。
お盆の時期には具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。
地域によって異なる部分もありますが、ここでは一般的な内容を紹介します。
お盆の初日には、家に戻ってくるご先祖様を迎えるために玄関や庭先などで火を焚きますが、これを「迎え火」といいます。
初日の夕方頃に、焙烙(ほうろく)という素焼きのお皿におがら(植物の麻の茎の皮を剥いで乾燥させたもの)を載せて火をつけるのが一般的です。
この火は、お墓参りにおこなった際にろうそくから取ったものを使用するのが古来によく用いられたやり方とされています。
ご先祖様が家に戻る際、目印となるように置かれるのが「盆提灯」です。
昔は玄関につるしていましたが、今では足のついたものを室内に置くことが一般的です。
なお、新盆の場合は現在でも玄関につるすことが多いです。
盆提灯は電球式のものもありますが、灯をともす場合は迎え火同様お墓のろうそくから取った火を用います。
精霊馬はお供え物の一つで、キュウリやナスに4本の足(割り箸やつまようじを使用)をつけて馬や牛に見立てたものです。
ご先祖様があの世とこの世を行き来するときに乗るものとされています。
キュウリは馬、ナスは牛を象ったものといわれており、来るときは馬で早く来て、帰るときは牛でゆっくりと帰ってほしいという願いが込められています。
お盆の入りから明けの間まで飾っておきましょう。
お供えはお盆に返ってくるご先祖様へのおもてなしの品です。
お香・お花・ろうそく・水・食べ物の「五供(ごく)」を備えるのが一般的です。
食べ物はお盆の時期になると専用のお菓子や果物が売り出されることが多いですが、故人の好きだった食べ物を供えても構いません。
お墓参りは盆入りの昼間におこないます。
お墓の前で手を合わせたら、きれいに掃除をして墓石を打ち水で清めましょう。
そしてお供えとお線香をあげたら再び合掌します。
送り火はあの世に帰られるご先祖様をお送りするために、お盆明けの夕暮れ時に焚かれる火のことです。
やり方は迎え火と同じで、焙烙(ほうろく)におがらを載せて火をつけます。
灯す時間はご先祖様を見送ったと思われるまで、おおむね30分程度の場合が多いです。
※おがらとは「植物の麻の皮をはいで残った茎を乾燥させたもののこと」です。
お盆の法要に呼ばれたとき、香典をいくら包めばよいのかわからず困ってしまうこともあるかもしれません。
ここでは、香典の相場やマナーについて解説します。
まず数字として避けなくてはならないのは「4」と「9」です。4は「死」を連想させ、9は「苦」を連想させるからです。
したがって、4,000円や9,000円といった金額は避けるべきでしょう。
3,000円、5,000円あるいは10,000円という金額が一般的です。
香典の金額は、初盆と通常のお盆で異なります。
初盆では5,000円~10,000円、普通のお盆では3,000円~5,000円が一般的です。
普通のお盆では初盆より安くなります。
お盆の法要のあとで会食の場が設けられることもありますが、それにも参加する場合は香典に食事代を足した額を包むのがマナーです。
食事代は3,000~5,000円ぐらいを考え、例えば香典が5,000円なら包む金額は8,000円~10,000円ということになります。
また、家族で参加するなら食事代は家族の人数分が必要です。
人は亡くなると「三途の川」を渡ってあの世へ行く、という話を聞いたことのある方も多いでしょう。
このように、水辺は古くからこの世からあの世へのとおり道という考え方があり、そのためお盆の時期に水辺へ行くと霊に引っ張られるという言い伝えもあります。
あくまで迷信であり、お盆の時期に海や川などに行くことが禁止されているわけではありません。
ただ、お盆は亡くなられた方を供養する期間です。
この時期には無駄な殺生を避け、釣りなどはおこなわないほうがよいかもしれません。
先に述べたように、お盆のお供え物には「香・花・灯燭・浄水・飲食」の5つがあります。
ここでは5つのお供え物について解説します。
「香」はお線香や抹香のことです。
「花」は菊やキンセンカなどの仏花もありますが、故人の好きだった花でも構いません。
「灯燭」はろうそくのことで、灯りであると同時にお線香をつけるときにも用います。
「浄水」は清潔な水で、水道水で構いませんが毎日きちんと交換しましょう。
「飲食」はお菓子や果物のほかに、家族が毎日食べているのと同じものをお供えする「仏前」があります。
これには同じものを食べていただくことでご先祖様とつながることができる、というものです。
棚経の「棚」とは、お盆の時期に作られる盆棚(精霊棚)のこと。
お盆の時期に、この棚の前で菩提寺の住職にお経を読んでもらうことを「棚経」といいます。
盆棚を作らない場合は、仏壇がその代わりとなります。
お盆はお寺にとって繁忙期ですから、依頼をするのは早めがよいでしょう。
お盆期間中の4日間で回りきれない場合、お盆前に棚経をしていただく場合もあります。
お盆は暑い時期におこなわれるので、茶菓に加えクーラーや扇風機、おしぼりなど涼んでいただけるものを準備しましょう。
お経を読まれる間は家族も盆棚の前に集まってお参りし、読経のあとにお布施をお渡しします。
法要後に会食をおこなう場合は住職もご招待しますが、もし辞退された場合には「御膳料」をお渡しすることもあります。
なお、法要の際の服装は喪服が基本ですが、地味な服装であれば必ずしも喪服でなくても構いません。
亡くなった方の霊とのひとときの再会を楽しみ、感謝の思いを伝え供養するのが「お盆」の目的です。
また、親戚や友人知人など懐かしい方と再会する機会でもあるでしょう。
さらに日本古来の文化に触れるよい機会でもあります。
お盆を自宅でおこなうのは大変と思われがちですが、ここで解説したことを参考に、ぜひ有意義で思い出に残るお盆をお過ごしください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。